【池井戸潤】おすすめ小説(あらすじ・感想・評価)

小説

著者:池井戸潤の紹介と代表作品

1963年6月16日、岐阜県加茂郡で誕生。

慶應義塾大学卒業後、1988年三菱銀行に入行し1995年で退職。

1998年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞、作家デビュー。
2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を受賞。
2011年『下町ロケット』で第145回直木賞受賞。

 

果つる底なき

発行日:1998年9月10日
発行元:講談社

  • 1998年、第44回江戸川乱歩賞受賞
  • 週刊文春のミステリーベスト10で8位にランクイン
  • 2000年2月11日、金曜エンタテイメントで、「果つる底なき-銀行の融資打ち切りが生んだ倒産の悲劇- 銀行の影に潜む巨悪犯罪」として放映。

 
あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 「これは貸しだからな」。謎の言葉を残して、債権回収担当の銀行員、坂本が死んだ。死因はアレルギー性ショック。彼の妻・曜子は、かつて伊木の恋人だった・・・。坂本のため、曜子のため、そして何かを失いかけている自分のため、伊木はただ一人、銀行の暗闇に立ち向かう! 第44回江戸川乱歩省受賞作
 
果つる底なき:ひとこと感想と評価(2020年1月13日読了)
 
 
 

池井戸さんらしい重厚感漂うミステリーです。

 

冒頭、同僚の坂本が謎の死を遂げる。死因は「アナフィラキシーショック」。自殺か、他殺か。死んだ坂本のため、残された妻子のため、坂本の同僚である伊木が事件を解明すべく立ち上がる。

 

事件の全貌が明らかになるにつれ、伊木 vs銀行組織の構図が鮮明になり、さらに関係者が次々と謎の死を遂げていく。伊木は、わずかな理解者とともに見えない巨大な敵へ立ち向かう。といったストーリーです。

 

銀行の内部事情や金融取引について、さらにM&Aや不良債権というビジネスマン垂涎のネタが満載です。これらの知識もいただきながら、ストーリーも楽しめるという、非常にお得な一冊!。特に「銀行・金融」好きな方におすすめです。

 

 

評価:7/10点

 

下町ロケット

発行日:2010年11月24日
発行元:小学館

  • 第145回(2011年上半期)直木賞受賞
  • 2015年10月18日~12月20日まで、毎週日曜21時~21時54分、TBS系列「日曜劇場」にて全10回で放送。
  • 2011年8月21日~9月18日まで、毎週日曜22時~23時に、WOWOW「連続ドラマW」にて放送された。

 
あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に触手を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた・・・。男たちの矜持が激突する感動のエンターテインメント長編!第145回直木賞受賞作(解説・村上貴史)
 
下町ロケット:ひとこと感想と評価(2019年6月16日読了)

佃社長いいですね。

採算度外視してでも夢を追いかけ、ついに世界に通じる技術「バルブシステム」を完成させるなんて。しかも、経営難に陥っても信念を曲げることなくブレないその姿勢は、ぼくの理想の上司像です。

 

内容はご承知の通りなので割愛しますが、蟻が巨人に立ち向かうという「判官びいき根性」をくすぐる作品です。

 

こちらの小説では、「銀行・金融・特許」といったビジネスキーワードがゴロゴロでてきますので、このあたりに興味のあるビジネスパーソンには、ど真ん中のどストライク本になると思います。

 

 

評価:9/10点

 

かばん屋の相続(短編集)

発行日:2011年4月
発行元:文春文庫

  1. 十年目のクリスマス
  2. セールストーク
  3. 手形の行方
  4. 芥のごとく
  5. 妻の元カレ
  6. かばん屋の相続

 
あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 
池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに?
 
かばん屋の相続:ひとこと感想と評価(2020年7月6日読了)

1、十年目のクリスマス

 計画倒産した社長が、粉飾で蓄えた資金を使い自分だけ生き残る様は、読んでて胸くそが悪くなった。

 神室社長のしたこと(架空在庫を燃えた事にして不当な利益を得る)は横領になるし、自社の倉庫に火をつけたことは、「現に人がいる建造物」にあたるため、現住建造物放火の罪になる。これらの罪を考えると神室社長は罪悪人であり、ラストの永島の反応には納得できない。

 

評価:4/10点

 

 

 

2、セールストーク

 半沢直樹をミニマイズしたような印象。

 銀行支店長が個人的に世話になった社長に融資をするため、ある得意先へ一時的に融資し、そこから金をバックしてもらい、世話になった社長に流していた。

この不正を、部下の北村という課長が裁量臨店で暴露し、支店長は懲戒解雇に。『半沢直樹』でいう、「倍返しだっ!」ってところでしょうか。

 

評価:5/10点

 

 

 

3、手形の行方

 若手銀行員の職場内恋愛のもつれが、手形紛失という修羅場の原因に。

 面白いのは、手形を紛失した銀行側が得意先に頭を下げ、手形の再振出を依頼するも、ことごとく正論で突き返されるところ。特に、オオハシ管工の西岡社長の言い回しがキレッキレでお見事だった。

紛失の原因を作った堀田君のダメっぷりもなかなかのもの。これだけのミスをして、かつ反省の色もみせない部下に対して、ちょっとぬるすぎないか? 

 

評価:5/10点 

 

 

 

4、芥のごとく

 業績の悪い融資先の土屋鉄商。新人銀行員の山田が担当となり、何とかこの会社を立ち直らせる!と息巻き奮闘する。しかしながら、思うように業績は回復せず、最終的に不渡りとなり夜逃げすることに。

 40ページほどの短い作品ですが、『手形の割引』について実例をもとに理解することができ、また、経営難での資金繰りの厳しさも非常に参考になった。

 登場人物の色分けもしっかりされていて、短編ながら非常に濃厚な作品で面白かった。

 

評価:7/10点

 

 

 

5、妻の元カレ

 銀行とはほぼ無関係な作品だけれど、男女の恋愛観についてシビアに描写しており面白かった。

 でもどうなんだろ、結婚したにも関わらず、元カレに惹かれて実の旦那への気持ちが薄れるのって。生真面目で、物静かな性格は分かっててそれを承知で結婚したんじゃないのか?

 旦那「大阪に転勤になる・・・」

 嫁「そう・・・、でも、ここ(東京)には、私を必要と思ってくれる人がいる」

 このやり取りを読んで、頭が痛くなった。

 

評価:5/10点

 

 

 

6、かばん屋の相続

 メガバンク勤務の兄と、かばん屋で地道に働く弟の、父の相続をめぐる争い。

 父の想いは、弟に会社を再建させること。だが、現在の会社は早晩得意先の『連帯保証』で倒産することは目に見えていた。

 物語での兄は、「非道・自己中・欲深い」というイメージを持つが、『倒産後の始末』という難儀な役割を兄に与えたのも、兄の力を信じたためではないだろうか。実際兄はその後、大手外資系銀行へ転職している。弟だけでは、倒産後に会社を立て直すことは不可能だっただろう。

 最終的に倒産した本社ビルが競売に欠けられ、それを弟が落札したのは痛快だった。

 

評価:6/10点

 
 

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