【湊かなえ】おすすめ小説(あらすじ・感想・評価)

小説

著者:湊かなえの紹介と代表作品

1973年、広島県因島市で誕生。

2007年『聖職者』で小説推理新人賞を受賞しデビュー。
2009年『告白』本屋大賞。デビュー作でのノミネート・受賞は共に史上初。
また、累計300万部を超える空前の大ベストセラーとなり、作者の名とともに”イヤミス(読んだ後に嫌な気分になるミステリー)”というジャンルを世に広めた。

2009年『告白』本屋大賞受賞
2012年『郷、海の星』日本推理作家協会賞(短編部門)受賞
2016年『ユートピア』山本周五郎賞受賞

 

告白

発行日:2008年8月5日
発行元:双葉社

  • 2009年度本屋大賞受賞(デビュー作での受賞は初)
  • 全国266スクリーンで公開、2010年6月5日~6日の初日2日間で興行収入2億7,000万、19万4,893人を動員

告白

 
あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学生の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーがついに文庫化! 
 
告白:ひとこと感想と評価(2019年4月28日読了)

 デビュー作にして大ベストセラー。

 2010年11月時点で累積売上は210万部とは、すごいですよね。

 湊かなえさんといえば、「イヤミスの女王」そう呼ばれるきっかけとなった作品です。

 

 内容は、学校で愛娘を殺された女教師が、犯人である教え子に復讐します。が、この復讐のやり方が狂気の沙汰であり、あまりにも残酷。

 最終的に目的は達成されることになりますが、読了後は胸に何かつっかかったような感情が残ります。(これがイヤミスと呼ばれる読了感なのか・・・)

 

 後味よくスッキリ読了したい派は、回れ右でお願いします。

 

 

評価:7/10点

 

 

 

少女

発行日:2009年1月20日
発行元:早川書房

  • 映画化:2016年10月8日公開(配給:東映)

少女

あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 親友の自殺を見たことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことおある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く———死の瞬間に立ち会うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。 
 
少女:ひとこと感想と評価(2019年5月5日読了)

人の「死」をみたい!と、異常な衝動に駆られた女子高生2人の物語。

いつしか、生命活動を終えた「ただの死体」を見るだけでは満足できなくなり、人が死ぬ「瞬間」が見たいと、本気で考えるようになる。

 

この作品の核心は「因果応報」

 仏教用語。原因としての善い行いをすれば,善い結果が得られ,悪い行いは悪い結果をもたらすとする。善因善果,悪因悪果,三世因果などと表現される。【コトバンクより抜粋】

湊かなえさんが表現する「因果応報」がこの小説の骨格になっています。

序盤は二人の視点を交差しながら進んでいくため、やや重い展開ですが、中盤以降はギヤが上がり加速します。

特に最後の数ページがこの小説の「一番のうまみ」となっていて、カップヌードルでいえば、底にたまった具材を ”すすり飲み切る” 幸福感とぴったり一致します。

 

そんなにイヤミス感は感じられず、割とすっきり読了できました。

 

 

評価:6/10点

 

 

 

贖罪

発行日:2009年6月15日
発行元:東京創元社

  • テレビドラマ化:2012年1月8日~2月5日、WOWOWの連続ドラマW(毎週日曜日22:00~23:00)で放送

贖罪

あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、何故か顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。娘を喪った母親は彼女たちに言った———あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!? 
 
贖罪:ひとこと感想と評価(2019年5月25日読了)

 15年前、小学4年生の女の子5人が学校で遊んでいたところへ、プールの点検にきたという ”おじさん” が現れ、言葉巧みに「エミリちゃん」を連れ去ってしまう。なかなか戻ってこないエミリちゃんが心配になり探しに行くと、そこには殺害されたエミリちゃんの姿が・・・。

 

エミリちゃんの母親は、一緒に遊んでいた友達4人に対して「犯人を見つけろ。罪を償え」という呪いをかける。

母親の呪いを受けながらも成長していく4人、犯人を見つけることができるのか?そして罪を償うことはできるのか?

 

無尽蔵なの母親の憎しみを「呪い」として表現すると、こんな小説になるのか。

人間の「執念」や、「恨み」といった負の感情が余すところなく表現されている。

 

 

評価:6/10点

 

 

 

Nのために

発行日:2010年1月29日
発行元:東京創元社

  • テレビドラマ化:2014年10月17日~12月19日、毎週金曜日22:00~22:54、TBS系の「金曜ドラマ」枠で放送

Nのために

あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、そこに住む野口夫婦の変死体が発見された。現場に居合わせたのは、20代の四人の男女、それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。なぜ夫婦は死んだのか?それぞれが想いを寄せるNとは誰なのか?切なさに満ちた、筆者初の純愛ミステリー。
 
Nのために:ひとこと感想と評価(2019年5月18日読了)

物語は1人称で進みますが、登場する4人の男女それぞれの立場で進行します。

そのため、だれが「N」を想って行動しているのか、ちらりと覗き見する神目線を味わうことができ、斬新で面白いかったです。

 

ただ、時系列が前後することがありますので、混乱しないよう注意が必要です。

 

 

評価:6/10点

 

 

 

夜行観覧車

発行日:2010年6月2日
発行元:双葉社

  • テレビドラマ化:2013年1月18日~3月22日、毎週金曜日22:00~22:54、TBS系の「金曜ドラマ」枠で放送

夜行観覧車

あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 父親が被害者で、母親が加害者———。高級住宅に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺された子どもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。
 
夜行観覧車:ひとこと感想と評価(2019年6月2日読了)

再読後、感想をあげさせていただきます。

 

評価:/10点

 

 

 

往復書簡

発行日:2010年9月
発行元:幻冬舎

  • テレビドラマ化:2016年9月30日金曜日 20:57~22:56 にTBS系で『往復書簡〜十五年後の補習』のタイトルで放送

往復書簡

あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会うことができない(「20年後の宿題」)過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。
 
往復書簡:ひとこと感想と評価(2019年7月21日読了)

再読後、感想をあげさせていただきます。

 

評価:/10点

 

 

 

花の鎖

発行日:2011年3月10日
発行元:文藝春秋

  • テレビドラマ化:2013年9月17日火曜日21:00~23:13 にフジテレビ系列で放送

花の鎖

あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供ができず悩む美雪。水彩画の講師をしつつ和菓子屋でバイトする紗月。花の記憶が3人の女性を繋いだ時、見えてくる衝撃の事実。そして彼女たちの人生に影を落とす謎の男「K」の正体とは。驚きのラストが胸を打つ、感動の傑作ミステリ。
 
華の鎖:ひとこと感想と評価(2019年10月17日読了)

再読後、感想をあげさせていただきます。

 

 

評価:/10点

 

 

 

望郷

発行日:2013年1月30日
発行元:文藝春秋

  • テレビドラマ化:『ドラマスペシャル 湊かなえサスペンス 望郷』と題し「みかんの花」「海の星」「雲の糸」の3編を原作としてオムニバスドラマとしてテレビドラマ化。2016年9月28日:21時~23時18分放送
  • 「夢の国」「光の航路」の2編を原作として映画化:2017年9月16日公開。制作·配給:エイベックス・デジタル

  1. みかんの花
  2. 海の星
  3. 夢の国
  4. 雲の糸
  5. 石の十字架
  6. 光の航路
あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
 
暗い海に青く輝いた星のような光。母と二人で暮らす幼い私の前に現れて世話を焼いてくれた“おっさん”が海に出現させた不思議な光。そして今、私は彼の心の中にあった秘密を知る…日本推理作家協会賞受賞作「海の星」他、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む謎を、名手が万感の思いを込めて描く。
 
望郷:ひとこと感想と評価(2020年7月13日読了)

1、みかんの花

 家を飛び出した姉が25年後に作家となって故郷の島に戻ってきた。

 ・なぜいきなり家を飛び出したのか。

 ・一緒に駆け落ちした健一君はどうしてるのか。

 ・なぜ25年も音信不通だったのか。

 このあたりの謎は最後に解明されますが、さらっと過去を告白する姉にゾッとしました。

 

評価:5/10点

 

 

2、海の星

 浜崎家族の父親が失踪した。

 その真実を知りながら、帰りを待つ家族に近づき親切を働くおっさん。

 一方、そんな由も知らず、おっさんからいわれない親切を受ける浜崎家族。

 ・なぜ、このおっさんはここまで親切にしてくれるのか?

 ・父が失踪した後、母親が目当てにしているのではないか?

 ・父はまだどこかで生きているのか?

 謎は何一つ解明されぬまま時は過ぎ、この微妙な関係は、おっさんの告白がもとで終わりを告げる。

 

 ラスト、おっさんの娘の告白で真相は明らかになりますが、真実を知る者と、知らない者の「視点の違い」だけでミスリードさせる手法は斬新でした。

 

評価:7/10点

 

 

3、夢の国

 いまだに封建制度にとらわれている厳しい祖母との確執を描いた物語。

 夢津子の夢は、兎にも角にも「東京ディズニーランド」に行くこと。小学校からの夢は、3度破られる。

 

 1度目、酔っぱらった両親の妄言を信じて裏切られた

 2度目、母が町内会のくじ引きで特賞を当てるも、祖母を配慮し断念

 3度目、高校の修学旅行の行き先が、ディズニーランドから信州に変更

 

 これはどう見ても、ディズニーランドには行くなフラグが立っているとしか思えないが、夢津子はあきらめない。そして執念の果てに・・・

 

評価:4/10点

 

 

4、雲の糸

 一家は、父と母、姉と弟の平凡な4人家族だったが、父の酒乱が原因で母が父を殺めることになる。この事実は広く知れ渡り、幼き子供は学校でひどく中傷された。

 弟は上京した後、持ち前の才能と努力で一流アーティストとなるも、たまたまとってしまった一本の電話から人生の歯車が狂いだす。

 

 率直な感想ですが、読者の胸糞を極限まで悪くさせてから、姉の一言で救い出すという、なんとも読んでて疲れる作品でした。(悪い意味でない)

 

 以下は、感動した姉のセリフの一部を引用

「違う。あんたは卑屈にならずに、堂々としてりゃいいって言いたいの。人の成功を妬んで石を投げてくる人なんかどこにでもいる。その人たちは母さんが殺人犯であってもなくても、同じことをしていたはずよ。でもね、そんな人たちが投げる石なんかかすりもしないくらい、あんたは自分が思う以上に高いところまでいけてるの。それでも不安なら、もっともっと昇ればいい。昇れば昇るほど、石を投げてくる人が増えるだろうけど、投げ上げた石はあんたには当たらない。投げた本人にかえってくる。ほうっておけばいいんだって」

 

評価:6/10点

 

 

5、石の十字架

 印象に残ったのは、ことばはナイフにもなるということ。

 ストレスで会社に行けなくなった父を、母が「家のためにがんばって」と励ますことは、父にナイフをつきつけることと同じことだという。

 では正解は?

 

 人が抱える心の傷や、心の奥底に刺さったトゲの痛みをあらためて考えさせられました。

 

評価:5/10点

 

 

6、光の航路

 たまたま不良行為の現場を目撃した中学1年生の男子が、その後苛烈ないじめを受け自殺までも頭によぎったが、たまたま現場に居合わせた教師に救われる。

 教師は男子生徒に「何があったか話してみなさい」と促すが、男性生徒は、「死にたい」とだけ答える。このとき男子生徒の感情には「死ぬ」ことしか残っていなかったという。

 そして教師は男子生徒を進水式に誘い、

 ・男子生徒もこの真新しい船と同じように祝福されて海にでたこと。

 ・出航し荒波に難破しそうになる船に助け船を出すこともできるが、全ての船に寄り添うのは難しいこと。

 ・僕(教師)の仕事は、海が荒れれば同じように航路を進む船をがっちり連結し、どんな船であっても一隻たりとも沈ませないことを男子生徒に説いた。

 

 男子生徒を進水式に見立て励ますエピソードは心が震えた。

 

 

評価:7/10点

 

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