著者:綾辻行人の紹介と代表作品
京都府京都市生まれ。
本名:内田 直行(うちだ なおゆき)
作風は、物理トリックよりも叙述トリックを得意とし、多くの作品にストーリーの構図を大きく転換させるどんでん返しが見られる。
1986年に小野不由美と結婚。翌年、在学中に『十角館の殺人』で作家デビューする。
1990年『霧越邸殺人事件』週刊文春ミステリー1位。
1992年『時計館の殺人』日本推理作家協会賞。
2011年『Another』ミステリが読みたい!1位。
2018年 – 第22回日本ミステリー文学大賞受賞。
迷路館の殺人
発行日:1988年9月5日
発行元: 講談社
- 著者は文庫版のあとがきで、「いつか1.5倍〜2倍くらいの長さの「完全改訂版」を作りたい」と述べていたが、新装改訂版のあとがきでは、「文庫化から17年をおいて冷静に眺めてみて、そのような改稿は愚策だな、と思い直したところがある」と述べている。
あらすじ(裏表紙より抜粋させていただきました)
奇怪な迷路の館に集合した四人の作家が、館を舞台にした推理小説の競作を始めたとたん、惨劇が現実に起きた! 完全な密室と化した地下の館で発生する連続殺人の不可解さと恐怖。逆転また逆転のスリルを味わった末に読者が到達する驚愕の結末は? 気鋭が異色の構成で挑む野心的な長編本格ミステリー
迷路館の殺人:ひとこと感想(2020年8月25日読了)

『作中作』が題材の小説を読むのは初めての経験。
さすがに大小さまざまな謎や、怪しさがふんだんにちりばめられている。
その中でも、
・親指シフト「wwr」の謎
・なぜ犯人は、小説の”見立て”通りに殺人するのか
このあたりの謎は早めに解けたので「割と簡単なトリックだな」と名探偵を気取ってみたが、それは子供をあやすために与える飴玉のようなものだった。
この作品の核心は、ミスリードを誘う2つの叙述トリックにあった。
1つはプロローグで、この『作中作』 を読む人物。
もう1つは、『作中作』に登場する、ある人物の性別。
この2つが絶妙な表現で曖昧にされている。あたかも核心が露出しないよう霧で覆い隠すように。
エピローグでは、これらの謎が一気に雲散霧消となるが、まさにどんでん返しの展開。
気持ちよく騙されたいならおすすめの一冊です。
評価:7/10点
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